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病院に入院させれば安心だという気持ちはわかりますが、ご家族が覚悟を決めれば在宅での看取りも難しいものではありません。訪問看護や訪問介護を併せて受ければご家族の負担もずっと軽くなります。また何より患者さんにとって住み慣れた家で家族と一緒に過ごす時間はかけがえのないものです。入院では禁止されるお酒やたばこも自宅では自由です。そのような「わがままが言える」「気ままに暮らせる」という安心感のためか、痛みを伴うことが多い末期がんの患者さんでも、在宅では痛み止めの使用量が約半分で済むという報告もあります。患者さんが穏やかに余生を過ごしたいと考えているのであれば、在宅医療は非常にメリットの大きい選択肢だと思われます。
口からものを食べられない場合、なんらかの方法で水分と栄養を与えなければ死んでしまいます。それを老衰やがんなどの末期状態として受け入れられる場合は、苦痛を和らげる医療(緩和医療)と比較的少量の点滴で見守る方法(看取りの医療)があります。しかし看取りの方針とすることに納得できないような場合は「胃瘻(いろう)による経管栄養」か「中心静脈栄養(高カロリー輸液)」のどちらかを選択することが一般的です。これは、患者さんやご家族の状況・人生観などが複雑にからむ難しい問題で、どうすればいいかについて明確な答えはありません。当院の在宅医療を希望される方に限りますが(そうでないと責任持てないので)、よろこんでご相談をお受けいたします。是非一度お問い合わせください。
途中でやめることは可能です。当院は患者さんとご家族のご希望を最大限に尊重したいと考えていますので、「やっぱり○○病院(医院)に通院したい」などの希望は遠慮なくおっしゃってください。通院の場合は患者さんの意思で「先生と合わないからもう行かない」ということが簡単にできますが、在宅医療の場合は「もう来てほしくないが定期的に来てしまう」といういわば「押し付けの医療」になりがちです。当院としても本当は望まれていないのに行くという「独りよがりな訪問診療」はできれば避けたいと考えています。言いにくい場合はケアマネジャーさんなどを介して意思表示をしてください。空気を読んでこちらから提案することもあります。
「ケアマネジャーが困難に感じる点」として最も多い(約50%)のが「医師との連携が取りづらい」だったという調査があります。医師のなかには「こんな時間に電話をかけてくるな」などと怒る人もいると聞いたことがあります。医師は医療の専門家ではありますが、介護福祉分野や介護保険制度について勉強したという人は多くありません。そのため、介護分野との連携を避けたいと思っているのが本音だと思います。当院では在宅医療を提供する上で介護との連携は必要不可欠と考えておりますので、医師自らケアマネジャーの資格を取得するなど理解を深める努力をしております。是非お気軽にご連絡・ご相談ください。
最終的には施設の考え方によりますが、どんな施設でも看取りは可能です。よく言われる「急変」という言葉ですが、「病気や老いによる正常な経過の死だが、『死ぬ』という直接的な表現を避けるための急変」と「さっきまでぴんぴんしていた人が突然死んだという意味の『本当の急変』」の2種類があります。前者の場合は在宅医療で何の問題もなく看取りができます。「死亡する前の24時間以内に診察を受けていないと死亡診断書が書けない」などというのも世に広く浸透している誤解です。一方、後者(本当の急変)の場合ですが、普通は救急要請され救命処置を受けます。しかし本当の急変であっても、事前に「心肺蘇生や集中治療は受けたくない」という意思表示があれば、救急要請せずに看取ることも可能です。ただし正常な経過ではないため明らかな病死という確証が得られないこともあります。その場合、事故や事件の可能性を否定できないので警察署に「異常死体の届け出」を行い「検視」を受ける必要が出てきます。その結果、施設の前にパトカーが止まることになり、これを「警察沙汰になる」として施設が嫌うものと思われます。しかし「警察沙汰になる」ことがすなわち「事件になる」ことではありません。むしろ当院では「事件性がないことを立証していただくため」に、積極的に検視を依頼するという立場です。当院で訪問する施設にもこのような考え方をご理解いただき、安心で穏やかな看取りのために緊密な連携を取っていきたいと考えています。